トロ舟(プラ舟)を使ったメダカビオトープに挑戦してから約1年半が過ぎました。
最初は右も左も分からなかったので苦戦しましたが、1回作ればポイントが分かるので2個目以降はそれほど難しいこともなく、現在は全部で4個のビオトープを管理しています。
最近力を入れているのは水草で【緑の絨毯】を作ることです。
いろいろ試行錯誤しているのですが、ようやく大体のポイントが分かってきました。
そこで、緑の絨毯ができるまでの経過やおすすめの水草、育てる上での注意点などを書いていきたいと思います。
緑の絨毯ができるまでの経過とおすすめの水草
上画像は4か月前に緑の絨毯を目指してリセットしたトロ舟メダカビオトープです(生体はメダカとヒメタニシ)。
左上と右下のソイル(黒い小粒の土)に、それぞれ「ニューラージパールグラス」と「グロッソスティグマ」という水草を植えました。
どちらの水草も室内水槽で育てる場合は、光量に気をつけたり、肥料やCO2の添加が必要だったりと難しい部分もあります。
しかし、屋外ビオトープの場合は十分な太陽光を確保できるうえ、生体の糞などが栄養になるので、育てるだけなら意外と簡単です。
おすすめの水草1:ニューラージパールグラス
分類 | 原産地 | 開花期 | 耐寒性 | 耐暑性 |
抽水植物 | 南米 | ー | 寒さにやや弱い | 暑さに強い |
ニューラージパールグラスはゴマノハグサ科の植物で、地面を這って伸びていくタイプの水草です。
ラージパールグラスの改良品種であり、上手に育てると土にべったりと匍匐しながら増えていきます。
おすすめの水草2:グロッソスティグマ
分類 | 原産地 | 開花期 | 耐寒性 | 耐暑性 |
抽水植物 | オーストラリア | 5月~9月 | 寒さに強い | 暑さに強い |
グロッソスティグマは、丸い緑の葉が特徴的な水草です。
ニューラージパールグラスと同じく前景草の代表格であり、上手に育てると地面をびっしりと覆うように成長します。
おすすめの水草3:ヘアーグラスショート(チシママツバイ)
分類 | 原産地 | 開花期 | 耐寒性 | 耐暑性 |
抽水植物 | 日本、アメリカなど世界各地 | 6月~9月 | 寒さに強い | 暑さに強い |
このビオトープでは使用していませんが、ヘアーグラスショート(チシママツバイ、ショートヘアーグラス)もおすすめの水草です。
ショートヘアーグラスはカヤツリグサ科の植物で、アクアリウムの世界ではパールグラスやグロッソスティグマなどと並んで前景草の代表格として知られています。
成長はやや遅めですが、環境が合えば緑の絨毯というか「草原」のような感じに広範囲に茂ってくれます。
私の経験上、難易度は前述の2つの水草に比べると少し高め。
今はきれいに育ってくれていますが、最初に植えた時は藍藻類という緑色のドロドロにやられてしまい、全て植え直す羽目になってしまいました…。
ただ、いったん形成された美しい景観は、トリミングなどの手間をかけずとも長期間安定して維持されます。
ニューラージパールグラスやグロッソスティグマにも言えることですが、前景草を上手に育てるためには、苔や藍藻類対策が非常に重要です。
➡(当ブログの記事)越冬可で手間も少なめ!ヘアーグラスショートで作るメダカビオトープの緑の絨毯
水草を植える土の選び方
水草を植える土(砂)はソイルや赤玉土などいろいろな選択肢があり、それぞれメリットデメリットがあります。
ソイルとは

ジェックス ピュアソイルブラック
ソイルとは、土を小さな粒状に固めた底床材のことです。
通水性が高く多孔質であるため、水質を安定させるバクテリアなどの微生物が住み着きやすいという特徴があります。
ソイルには、水草育成に効果的な栄養成分を豊富に含んでいるタイプ(栄養系)や、生物にとって有害な物質を取り除き水をきれいに保つタイプ(吸着系)などがあります。
水草育成に非常に適しているため、水草主体の水槽を立ち上げる際には、ソイルを選択する人が圧倒的に多いのです。
ただし、ソイルは値段が高めで、交換時期も早めであることに注意が必要です。
赤玉土とは

イワモト 「三本線」焼成硬質赤玉土
赤玉土は、赤土を固めた底床材です。
通水性が高く多孔質であるため、水質を安定させるバクテリアなどの微生物が住み着きやすいという特徴があります。
水草の成長を直接促進する栄養成分は含まれていませんが、保肥性(肥料を保つ力)はそれなりに良く、根張りもまずまずです。
そのため、メダカやエビなどの生物がいる環境であれば肥料を与えなくても水草はそこそこ育つことができます。
通常の赤玉土はそれほど硬くないため、力が加わるとすぐに粒が崩れてしまいます。
しかし、高温で焼き上げた「硬質(焼成)赤玉土」は硬度が高く長持ちするのが特徴です。
また、赤玉土はソイルに比べると安価であるため、コストを抑えたい場合に適しています。
➡(当ブログの記事)【メダカビオトープ底床】硬質(焼成)赤玉土の色や大きさ、硬さを比較
ソイルと赤玉土の比較
ソイルと赤玉土(小粒)の両方を使ってみての感想ですが、水草の成長が早いのは断然ソイルでした。
赤玉土でも時間をかければ密に育てることもできますが、早くきれいな緑の絨毯を作りたい場合は、ソイルの方がいいと思います。
ソイルのデメリットは、値段が高いことや寿命(交換時期)が短いことなどです。
私が現在使っているのは、「GEX(ジェックス)」というメーカーの「Pure Soil Black(ピュアソイルブラック)」という吸着系のソイルです。
加熱処理されているので、一般的なソイルに比べると粒が崩れにくい点や、pHが中性付近で安定する点(弱酸性になるソイルが多い)などが気に入っています。
しかし、値段は硬質赤玉土よりかなり高めで、交換時期の目安も約1年と短めです。
ただし、交換時期については、長期間経過したり粒が崩れるとソイルの持つ効果を十分に発揮できなくなるので、早めに交換しましょうということであり、必ずしも目安の時期で交換する必要はありません。
ソイルとしての効果は期待できないものの、普通の土として2年、3年と問題なく使っている人もいるようですね。
赤玉土を使うなら、寿命の長い硬質タイプで粒が小さめのものを選ぶとよいかと思います。
大きい粒のものを使うと、水草を植える時の難易度が高くなるうえ、密に育てるのに時間がかかるためです。

ピュアソイルブラック(左)とイワモト硬質赤玉土小粒(右)
ソイルも赤玉土も一長一短あるので、自分のビオトープの環境に合ったものを選んでみてください。
約1ヵ月後の状況と苔対策
成長の様子
約1か月後の状況です。
グロッソスティグマの成長が著しいですね。グロッソほどではありませんが、ニューラージパールグラスも順調に成長しています。
ちなみに、右上で急成長している水草は、左が「ウォーターコイン(ウォーターマッシュルーム)」、右が「ロタラ ロトンディフォリア」です。
これらの水草は鉢植えでも凄いスピードで成長するので、植える際はご注意ください(特にウォーターコイン)。

ミナミヌマエビの導入
リセットから1ヵ月が経ちビオトープの水質も安定してきたのでこのタイミングで「ミナミヌマエビ」を大量に導入しました。
ミナミヌマエビは、淡水域に生息する小さなエビで、オスで2㎝、メスで3㎝ほどの大きさです。
アクアリウムの世界では、厄介な苔や餌の食べ残しなどを掃除してくれる優秀なタンクメイトとして知られています。
また、生息環境の条件がメダカと似ているため、メダカとの相性も良好です。

ニューラージパールグラスやグロッソスティグマなどは、苔にやられやすいので苔対策は非常に重要です!
去年、緑の絨毯作りに挑戦した時は、ミナミヌマエビの数が少なかったこととミナミヌマエビが元気に活動できる水作りができなかったことが影響したのか、水草が苔だらけになってしまい失敗に終わりました。
↑こういうタイプの苔に取りつかれてしまうと、水草の成長が遅くなるうえ、見た目も最悪です。
なんとか苔を取り除こうとピンセットで除去を試みましたが、苔を引っ張ると水草も一緒に抜けてしまうので、どうしようもなく、結局全て撤去することになりました…。
そのため、今回は同じ轍を踏まないように早い段階で多めにエビを導入した次第です。
ミナミヌマエビの大量導入は後に別のトラブルを引き起こすことになるのですが、去年のように水草が苔にやられることはなくなりました。
約3ヵ月後の状況とトラブル
成長の様子
約3か月後の状況です。
グロッソスティグマは多少隙間は空いているものの、緑の絨毯といっても差し支えないレベルまで成長しました。
ニューラージパールグラスも良い感じに育っています。
ヒメタニシによる水草の引き抜き
この時点でのトラブルは1点だけ。
それは、ヒメタニシが頻繁にソイルに潜りグロッソスティグマを引き抜いて緑の絨毯に穴を開けてしまうことです。
ヒメタニシはトロ舟の壁面やレンガに生える苔をたくさん食べてくれたり水をきれいにしてくれる優秀なタンクメイトではあるのですが、この潜り癖だけは本当に困ったものです…。
パールグラスの方にはあまり潜らずグロッソの方ばかりに潜っているのは好みの問題なのでしょう。
結論として、ヒメタニシとグロッソスティグマの相性はあまり良くないので、エビがたくさんいるならヒメタニシを入れなくてもいいかもしれません。
約4ヵ月後の状況と食害問題
ニューラージパールグラスの成長
約4か月後の状況です。
2か月経過の時点ではまだ隙間が多めだったニューラージパールグラスですが、4か月経過でかなり密になりました。
ここからさらに時間が経てば、より密になってモコモコしてくるでしょうが、ベースはほぼ完成しています。
グロッソスティグマの食害
お次は早い段階できれいに育っていたグロッソスティグマ。
早い段階でまあまあ仕上がっていたので4か月経てばもっときれいになっていると思いきや、、、
相変わらずヒメタニシに掘り返されているのに加えて、よく見ると葉っぱが欠けたりちぎれたり。
葉っぱをボロボロにしたのはミナミヌマエビorヒメタニシですね。これが「食害」ってやつか…。
ニューラージパールグラスも多少食べられてはいるものの、グロッソの方がダメージはかなり大きめです。
対策と植え直し
苔をしっかり食べてくれるように結構な数のエビやタニシを導入したので、ビオトープ内の食べ物が足りなくなって水草を食べてしまったのかもしれません。
メダカに与える餌の量を増やしたりエビやタニシ用の専用餌を与えれば食害は減ると思うのですが、メダカの体調や水の汚れも気になります。
また、専用餌を与えてしまったら苔をあまり食べなくなる可能性もあるので、なかなか難しい問題ですね。
とりあえず、駄目になってしまった部分を取り除き葉がきれいなものを植え直しました。
新しく植えたものも少しずつ成長しているので、経過を見ていきたいと思います。
まとめ
以上、今回はトロ舟メダカビオトープ緑の絨毯化計画の経過やおすすめの水草、注意点などについて書いてみました。
ニューラージパールグラスとグロッソスティグマという二つの水草を使って緑の絨毯を作ってみましたが、難易度的にはそれほど難しくはなかったように思います。
屋外ビオトープは太陽光を活用できるうえ、メダカなどの生体がいれば水草育成に必要な栄養分も確保できるのが大きな利点ですね。
課題は、ミナミヌマエビやヒメタニシによる食害です。
ヒメタニシは水草を抜いたりもするので、エビだけで苔を制御できるなら、ヒメタニシを入れない方がいいかもしれません。
ミナミヌマエビについては、専用の餌を与えたり、メダカの餌を少し多めに与えるなどして、苔も食べつつ水草を食べないようにコントロールしてみようと思います。
新しく植え直した部分の経過などについても、また時間があれば書きたいと思います。

参考にさせていただいた記事・サイト