新型コロナウイルスによる自粛の毎日を有効に使うために今年からメダカの飼育を始め早5か月が経過しました。
ネットで調べた知識を基にビオトープを立ち上げ、お隣さんからメダカを分けてもらい、ネット通販ショップでミナミヌマエビやヒメタニシ、改良メダカを購入するなど、この短い期間でいろいろなことができたと思います。

個人的に一番大変だったのは夏の暑さ対策や雨対策。
最初は日光を遮るために水槽を完全に覆う蓋をしてずっと暗いままにしていたので、メダカが病気(尾ぐされ病など)になってしまい塩浴で治療したりと本当に疲れました。

それを教訓に暑さ対策には簾を使い雨除けも紫外線を確保できる透明なビニールシートを使用。それ以降はメダカたちも病気になることなく元気に夏を越すことができました。
まだ最大の難関ともいわれる越冬を終えていないのでメダカ飼育の全てが分かったとはいえませんが、いろいろと楽しみながら学んでいる最中です。

メダカの飼育水がアルカリ性になる現象
それでは本題の「メダカの飼育水とアルカリ性」について。
話のきっかけは先日立ち上げた【レンガのビオトープ】です。
セメント素材のレンガは水のpHをアルカリ性に傾けてしまうのでしっかり「アク抜き」をしてビオトープに入れました。
水溶液中の水素イオン濃度を指す指数。水溶液は基本的に0~14の数値の範囲に収まり、雑貨工業品品質表示規程では7付近が中性、7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性になる。
メダカ飼育に適した水は弱酸性~弱アルカリ性(pH6.5~7.5程度)。

しかし、立ち上げから数週間後、どうにもミナミヌマエビの調子が思わしくない(ツマツマに勢いがない)のでビオトープ内のpHを測ると…
アオッ!というより紫!!
pH9程度のアルカリ性じゃないか。
ネットで調べると、メダカに適した水はpH6.5~7.5の弱酸性~弱アルカリ性。ミナミヌマエビも大体同じくらい。
でも、メダカやヒメタニシは問題なく元気なのにミナミヌマエビだけがちょっと弱ってる感じなんですよね。メダカよりミナミヌマエビのほうが繊細なのかな。
まあまあ念入りにレンガのアク抜きをしたのに、まだアルカリ物質が出ているのかと不思議に思いましたが、とりあえず水を半分くらい替えしばらく様子を見ることにしました。
しかし、数日後にpHを測ってもやっぱりアルカリ性。なんでや…。
飼育水が昼間はアルカリ性で夜は中性に変化?
納得できずにその日の夜にもう一度pHを測ってみると…
なぜか中性付近。全く意味が分からない。
昼間はアルカリ性なのに夜になると中性。ということはレンガが悪さをしているわけではなさそう。
試しに別の飼育容器【メダカの2世帯住宅】(チャームで購入)内のpHを測ってみると…
夜は中性付近で…
昼間はド紫!
レンガのビオトープ以上のアルカリ性…。pH10.0くらいいってそう。
メダカは両方とも元気そうだけれど、よくこんなアルカリ性の中で生きられるなと。
ついでに別のビオトープ【クローバーとバコパのビオトープ】のpHも測ってみることにしました。
夜は他の水槽と同じく中性で…
昼間も緑の中性付近。なんでやねん!
【レンガのビオトープ】と【メダカの2世帯住宅】の水は夜は中性付近で昼間はアルカリ性、【クローバーとバコパのビオトープ】は夜も昼も中性。
メダカ飼育水のpHと光合成の関係
このメダカ飼育水のpHの不思議は、どうやら「光合成」が深く関係しているようです。
植物が葉に日光を受けて、生活や成長に必要なデンプンなどの栄養分と酸素をつくりだす働きのこと。
メダカについての記事ではありませんが、「湖沼水のpHについて」という本当にちょうどいい記事があったので以下に引用します。
湖沼水は、特に夏季の成層期には、表層は植物プランクトンの光合成によって二酸化炭素が消費されるためにアルカリ側に傾き、底層はプランクトンの遺骸の分解に伴って二酸化炭素や有機酸が生成するため酸性側に傾く。河川でも、水深が浅く(日光が河床まで届く)水が停滞するような場所では、河床の付着藻類の光合成のためにpH値が高くなり、同時に溶存酸素も高くなることがある。
光合成は藻類が葉緑素と日光のエネルギーのもとに、水中の二酸化炭素(CO2)と水を使ってデンプンと酸素(O2)に変える作用である。水中のCO2は少量であるため、藻類は、炭酸水素イオン(HCO3-)をカルボニックアントヒドラ-ゼの触媒作用によってH2CO3とし、脱水反応でCO2として利用する。その結果、停滞水域であれば、水中のHCO3-は減少し、O2が増加し続けることになる。
水中の炭酸ガスは次式の化学平衡にあり、水質のpH値を左右する。
CO2+H2O⇔H2CO3⇔HCO3+H+⇔CO32-+2H+
光合成によってHCO3-が減少すれば昼間のpH値は上昇することになる。しかし、夜間は藻類の呼吸作用により、逆に水中のO2を消費してCO2を放出し、HCO3-濃度が高くなるためpH値は低くなり、溶存酸素(DO)も減少することになる。
カルボニックなんたらとかはちょっと分からないけれど全体像はなんとなく理解できました。
飼育水の中の植物性プランクトンや藻類が日光の当たる時間帯に光合成をするので、その時間帯は飼育水がアルカリ性になるけれど、夜間は藻類の呼吸作用で酸素を使って二酸化炭素を出すのでpHが下がるという話です。
確かに【レンガのビオトープ】にも【メダカの2世帯住宅】にもアオミドロっぽいものがかなりついています。
が、中性→中性だった【クローバーとバコパのビオトープ】は…
ミナミヌマエビとヒメタニシの完璧な仕事によってアオミドロなどの藻類の発生はほぼなし!
バコパやクローバー、ホテイアオイなどの植物は存在しているけれど、これらの植物には藻類のようにpHを大幅に変化させるくらいの力はないのでしょう。
メダカの飼育水がアルカリ性になる謎は解けたので、翌日から少しずつアオミドロを除去しpHを測ると以前より中性寄りのアルカリ性になりました。
アルカリ性の環境だと藻類も育ちやすい気がするのでやっぱり藻類は適度に除去しておいたほうがいいですね。
グリーンウォーター(青水)のpHは強アルカリ性
メダカの飼育水がアルカリ性になるのは、水中の植物性プランクトンや藻類が光合成をするから。
じゃあ植物性プランクトンの塊のような「グリーンウォーター(青水)」のpHは一体どれくらいなんだろう?という疑問が浮かんできました。
今うちではめだか本舗さんで買った「三色通常鱗-豊柄(ゆたがら)-」と「深紅」をグリーンウォーターで育てています。
このグリーンウォーターの飼育水のpHを測ってみると…
とんでもない紫!
間違いなく10.0以上で11.0くらいいってそう…。
ちなみに私は毎日底のフンやエサの残りをスポイトで吸って足し水をしているので新しめのグリーンウォーターを維持できていると思うのですが、それでこのpHですよ。
でも、当のメダカたちは至って元気で、エサもよく食べるし病気ひとつしてないんですよね。
メダカに適した水はpH6.5~7.5の弱酸性~弱アルカリ性、というのは一体なんだったのか。
pH11とかで元気に生きられるのが不思議だったので、またネットで少し調べてみると、グリーンウォーターはちょっと特殊な飼育水だと言っている人がいました(yahoo知恵袋に)。
なにが特殊かというと…
グリーンウォーターをコーヒーフィルターで濾してからpHを測ると…
pHが結構下がって8.0くらいに(光の加減で分かりにくいけれど8.0より少し高いくらい)。
11.0→8.0だからかなり下がってますね。
でもこれを【メダカの2世帯住宅】の飼育水でやってみるとほとんど変わらなかったんです。
グリーンウォーターはドロッとしていて濾す時も普通の飼育水と違いました。ドロッとしているのが植物性プランクトン?
私が使っているpH測定液が細かい植物性プランクトンにも反応して強アルカリ性と判定されたけれど、植物性プランクトンを除いた水自体は弱アルカリ性だからメダカも元気に生きられる、とかそういう感じなのでしょうか。
でないと、いくらメダカが強いとはいえ、さすがにpH11という過酷な状況に長時間曝されて普通に生きていられるはずはないだろうと思います。
以上、グリーンウォーターについての謎はまだ残されたままですが、とりあえずメダカの飼育水とpHの関係がある程度分かったのでスッキリしました。
pH値は水質の中でも重要な指標のひとつなので気になる方はぜひ自分の家のメダカ飼育水を測定してみてください。

参考にさせていただいた記事・サイト
- 続メダカ飼育|メダカ飼育と水の性質~さまざまな水質によるメダカたちへの影響~
- 一般社団法人 日本植物生理学会