春に始めたメダカ飼育。最初は分からないことだらけでしたが、いろいろ勉強しながら楽しんでメダ活しています。
メダカを飼育する上での直近の謎は、”メダカを飼育しているビオトープなどの水がアルカリ性になってしまう”ことです。
これに関しては、「光合成」が深く関係していることが分かりスッキリしているのですが、調査の際に多くの水槽のpHを測定するのがなかなか大変でした。
水溶液中の水素イオン濃度を指す指数。
水溶液は基本的に0~14の数値の範囲に収まり、雑貨工業品品質表示規程では7付近が中性、7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性になる。
メダカ飼育に適した水は弱酸性~弱アルカリ性(pH6.5~7.5程度)。
➡(当ブログの記事)メダカ飼育水がアルカリ性になる謎 グリーンウォーターはpH10以上?
水槽の飼育水にpH測定液(アルコールタイプ?)を入れ、液の色をpH比色紙表と見比べて大まかな数値を出し、また次の水槽へと移る作業を繰り返しました。
色合わせは目視に頼るため結構アバウトですし、何よりも面倒です。
そこで、もう少し簡単かつ正確にpHを計測できればと思い、【pH測定器(計測器)】を購入することにしました。
多数あるpH測定器からApera PH20を選んだポイント
pH測定器は様々なメーカーから数多くの商品がリリースされていますが、安いものなら数百円、高いものなら数万円とピンキリです。
日本製の高価なものなら精密に測定できるだろうと思いながらも、使用目的はメダカ水槽のpHを測るだけなので、そこまでの精度は求めていません。安価で十分な品質のものが手に入れば良いというのが私の考えでした。
最初に目についたのは、黄色の安価な中国製のものでした。
同じようなものが様々な中国メーカーから販売されていて、価格は概ね1000円から2000円程度でした。
価格が安く、口コミも悪くなかったので、購入しようかとも考えましたが、念のためにYouTube動画やサクラチェッカー(サクラ度をチェックするツール)で評価を確認してみると、あまり芳しくない結果でした。
そこで、もう少し予算を増やし、5000円程度で購入できるものを探してみることにしました。
そして、私が見つけたのが、「Apera Instruments(アペラ インスツルメンツ)」というメーカーが販売している「Apera エコノミータイプPH20」という商品でした。
電極キャップの水滴は感度を維持するため
商品到着時に驚いたのは、かなり綺麗でしっかりしたケースに入っていたことです。パッケージもオシャレでした。
セットの内容は、pH測定器本体(最大2000時間連続操作可能な電池も装着済み)と校正用の校正液2本。また、使用していませんが、ストラップのようなアクセサリーも入っていました。
新品にもかかわらず測定器の電極キャップに水が付いているのは、電極の感度を維持するためだそうです。
商品レビューには中古品が届いたという声もありましたが、中古品ではありません。
【Apera PH20】の特徴や製造・販売会社について
測定器の校正方法や使用感について説明する前に、まずはこの商品の特徴や製造・販売会社について簡単に紹介します。※一部の情報は、販売会社の社長に直接お話を伺っています。
pHと温度を簡単に速く計測可能
この商品の主な特徴は、迅速かつ信頼性・再現性の高いpH測定が可能であり、校正も簡単に行えます。さらに、温度も同時に計測することができ、価格も日本製ほど高くはありません。
企画はアメリカ・製造は中国
この商品は中国製です。
しかし、商品の企画は1991年に創業された「APERA INSTRUMENTS」というアメリカの会社が担当しています。
「APERA INSTRUMENTS」は、pH測定器だけでなく様々な機器を製造販売しており、アメリカやドイツなどでは知名度の高い企業です。
➡ Apera Instruments® Meters and Sensors for pH, Conductivity, TDS, Salinity, ORP, DO, Turbidity, ISE.
一般的な中国製との違いは電極部分の品質
【Apera PH20】が一般的な中国製pH測定器と異なる点は「電極」部分です。
この部分は価格の割には高性能だと言われています。日本製の高価なpH測定器の中には、この電極部分だけをAPERAから提供されているものも多数あるそうです。
日本での販売は「Apera Instruments 株式会社」が担当
APERAの製品を日本国内で販売しているのは、「Apera Instruments 株式会社」という企業です。この会社は、アメリカのAPERA INSTRUMENTSの日本法人的な役割を担っています。
同社の社長は、アメリカの「APERA INSTRUMENTS」のオーナーと同級生だったという縁から、日本での販売を目的に会社を設立したそうです。
会社設立は2020年と比較的最近で、新型コロナウイルスの影響もあり、まだ十分な販売体制が整っていないとのことでした。
しかし、今後は徐々に取り扱い商品を増やしていく予定だと社長は述べていました。
【Apera PH20】の校正方法や注意点
次に測定器の使い方について説明します。
【Apera PH20】に限らず、おそらく大半のpH測定器は開封直後には使用できない状態です。
正確なpH測定を行うためには、まず初めに「校正(キャリブレーション)」と呼ばれる手順を実施し、測定器を適切に調整する必要があります。
校正手順を記載した紙が同梱されているのでその通りに行えば簡単
校正方法については、セットに同梱されている手順書(丁寧にラミネート加工されています)を参照しながら行えば、それほど難しくありません。
映像で実際の校正の様子を見たほうが理解しやすいという方は、Apera公式のYouTubeチャンネルにアップロードされている動画をご覧ください。
校正の手順は以下の通りです。
- 本体の電源ボタンを短く押して電源を入れます。
- 純水で電極を洗浄し、水分を切ります。
- 電極を6.86pH校正液に入れ、軽く攪拌した後、静置します。次に、CALボタンを長押しして校正モードに入ります(短押しは校正中止)。
- 液晶画面にニコちゃんマークが表示されたら、CALボタンを短く押して1点目の校正を完了します。
- 2点校正を行う場合は、電源を切らずに手順2を行った後、6.86pH校正液の代わりに4.01pH校正液を使用し、手順3と4を繰り返します。
校正作業中のポイント
ここでは、校正作業中の注意点をいくつかご紹介します。
校正の前に、ラミネート加工された手順書と別の説明書には、長期間使用していなかった場合や初回使用時には「水酸化処理」を行う必要があると記載されています。
この処理の意味は明確ではありませんが、説明書に従って校正前に水酸化処理を実施しました。
次に手順2についてですが、精密なpH値測定には「純水」が必要だそうです。
私は化学や機器に詳しくないため、理解が難しかったのですが、社長は純水の必要性についてイオンの影響などを説明していました。
面倒だと感じたので、社長に「水道水でも問題ないのでは?」と何度も確認しましたが、正確な測定を行うためには純水を使用する必要があるとのことでした(笑)
「赤ちゃんの純水」という商品がメーカーの規定する「純水」の基準を満たしているかは不明ですが、薬局で1本80円弱で販売されていたため、現在はこの商品を使用しています。
次は手順3についてです。
YouTube動画では、校正液が入ったボトルに直接電極を挿入して校正を行っています。
しかし、正しい方法は、別の容器に必要量の校正液を移し、校正ごとに廃棄するか、密封状態で数日以内に使い切ってから廃棄するのが最適だそうです。

電極部分を入念に洗浄したとしても、汚れなどを100%除去することは困難です。校正液を繰り返し使用すると、品質の劣化は避けられないでしょう。
そのため、私はキャップのFILL部分まで校正液を注ぎ、電極を入れた後、軽く振ってから静置し、校正を行うという手順を採用しました。
ニコちゃんマークが点灯し、「M」という文字が表示されたら、1点校正が完了です。
次に2点校正について説明します。
電極を純水で洗浄し、水分を丁寧に拭き取ってから、今度は4.01pHの校正液をキャップに注ぎます。
1点目と同様に、電極を挿入し、静置した状態で校正を行います。
完了時には、「M」と同時に「L」の文字も点灯します。
ちなみに、校正液は約10回程度使用すると、電極を直接挿入する場合でも私のように毎回廃棄する場合でも、品質が劣化したり液量が不足したりするため、新しい校正液を購入する必要があります。
しかし、2021年10月現在、正規の校正液は販売されていない状況です。
メーカーによると、2021年中には正規の校正液を販売開始する予定とのことなので、その時期まで待つことにしたいと思います。
校正の考え方や3点校正の必要性
酸性から中性域のpHを測定する際、ある程度の誤差を許容できる場合は、2点校正で十分対応可能です。
しかし、アルカリ性域のpHを正確に測定したい場合は、9.18pHの校正液(別途購入が必要)を用いて3点校正を実施する必要があります。
pH測定器の校正の考え方や3点校正の必要性については、「Apera Instruments」の担当者から詳しく説明していただきましたので、以下に引用します。
弊社出品のPH20のようなガラス電極を用いてPH測定するPH計の校正方法と言いますと、PH標準液を利用して、計器のゼロ点とスパン点を正しく調整することを意味しております。
それは、測定された電極のmV値を測定溶液のpHの値に相関させる校正直線を補正するためです。
添付にてPH7とPH4の二点校正を図で説明させていただければもっと分かりやすいかと思われますので、ご参照のほど、よろしくお願いいたします。
ですので、より信頼性がある校正直線を得るために、測定サンプルのPH値に合わせて、ゼロ点とスパン点校正をお薦めいたしますが、校正前の校正直線は計器の状態によって異なりますので、どれぐらいの誤差が生じるのか一概的に回答することは難しいです。
そこは、ご了承のほど、お願い申し上げます。
ただし、酸性PH4と中性PH7の二点校正でも、分解能0.1のような一般精度の計器にとっては、その誤差による影響が小さいですので、日常生活においてのご利用は、ご安心ください。
図を使った説明は理解しやすいですね。
専門用語もあるため、全てを完全に理解することは難しいですが、2点校正を行えば誤差はコンマ数桁程度になると思われます。
メダカ水槽のpHを測定する程度であれば、2点校正で生じる誤差は許容範囲内だと個人的に考えます。
校正のスパンは意外と短め
校正が完了し、ようやくpH測定が可能になりました。
個々の作業は比較的簡単ではありますが、やはり面倒であることは間違いありません。電源を入れてすぐに測定できれば理想的ですが、現実はそうはいきません。
さらに、この校正作業は一度行えば永続的に有効というわけではなく、かなりの頻度で実施する必要があるのです。
校正の適切な間隔についてですが、社長によると、正確な測定を維持するためには数日おきに行うことが推奨されるそうです。
思わず「面倒でそこまではできませんね(笑)」と言ってしまいました。
ただし、私の場合はメダカ水槽のpHを簡易的に測定するだけですので、ある程度の誤差は許容できます。
測定値のずれを確認しながら、時々校正を行うつもりです。校正の頻度は状況によって異なるので、一概に何日ごとと決めるのは難しいですね。
【Apera PH20】を使った感想とまとめ
現在、3つのビオトープと数個の発泡スチロール容器でメダカを飼育しています。このようにpHを測定してみると、それぞれの水槽でpHや水温がかなり異なることがわかりました。
pHの測定時間は予想よりもはるかに短く、次々と別の水槽に移動できるので便利だと感じました。コツは、電極を水に浸した後、やや強めに撹拌することです。そうすることで、測定速度が上がります。
また、ニコちゃんマークが点灯すれば測定完了を示しているようですが、その後もしばらくの間、数値が変動するので、ニコちゃんマークが点灯した後も少し時間をおいた方が、より正確な数値が得られるような気がします。
Apera PH20の正確性や使いやすさ
【Apera PH20】を使用した感想ですが、まず正確性に関しては判断が難しいです(笑)
正確なpH値は、高精度の測定器を使用しない限り知ることができませんし、そのような測定器を所有していれば、この製品を購入することもなかったでしょう。
ただし、校正は適切に行ったので、その結果を信頼するしかありません。
定期的な校正が必要であることを考慮すると、水槽の数が少なくpH値の厳密さがそれほど重要でない場合は、従来のペーパー式や液体式の測定器を使用する方が良いかもしれません。
一方、【Apera PH20】は、私のように水槽の数がある程度多く、定期的にpH値を確認したい人におすすめの製品だと感じました。
以上、もし購入を考えている人がいたら参考にしてみてください。
Special thanks to Apera Instruments staff.
#メダカ #Apera #pH測定