真夏の暑さが厳しい季節、涼やかな水音と元気に泳ぐメダカたちのビオトープは、心地よい癒しの空間を作り出します。
しかし、この季節にビオトープをコンディション良く維持するためには、水温の上昇や水質の悪化、水の蒸発など季節特有の課題に向き合う必要があります。
今回は、この季節に欠かせない「水換え」と「足し水」の重要性、そしてそれらを効果的に行うための「カルキ抜き剤」の活用について紹介します。
夏場の水質悪化と対策
夏場は生体の代謝が活発になり、餌の食べ残しや糞が水を傷めやすくなります。また、水温上昇により有害な細菌の繁殖も促進されます。
これらの問題に対しては、定期的に底のゴミをプロホースなどで除去し、水を換えることが効果的です。
この簡単な作業が、メダカやミナミヌマエビ、ドジョウなどの健康維持に大きく貢献します。
夏場の水の蒸発と足し水の重要性
夏場は他の季節に比べて水の蒸発量が多くなります。
トロ舟60(容量約60リットル)を使用したビオトープの場合、実際の蒸発量は環境によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 夏季:1日あたり水位が数ミリ程度低下することもあり、週に数リットルの水が減少することも。
- 春・秋:夏の半分程度の水位低下。
- 冬季:蒸発量は比較的少なく、水位の低下もわずか。
これらの数値は、直射日光や風の影響、湿度などによっても大きく変動します。また、ビオトープ内の植物の有無や種類によっても異なります。
こまめな足し水は水位維持だけでなく、水質悪化を遅らせる効果も期待できます。
特に小型のビオトープでは水位低下の影響が大きいため、毎日のチェックをおすすめします。
水換えと足し水に使う水の準備
通常、水換えや足し水には、汲み置きして「カルキ」を抜いた水を使用するのが理想的です。
しかし、真夏は汲み置きの水も非常に高温になり、午後6時でも水温が40度を超えることも…。
対策としては、前日に汲み置いた水をまだ涼しい朝の時間帯に使用するのがおすすめです。
ただし、忙しい朝にそんな時間がない!という人には、後述する「カルキ抜き剤」の使用も検討してみてください。
カルキとは?
カルキとは、水道水を安全に保つために添加される塩素系の消毒剤のこと。
人間の健康を守るためには重要ですが、メダカにとっては有害なため、飼育水からは除去する必要があります。
カルキ抜きの方法には、汲み置き、カルキ抜き剤の使用、濾過などがあります。
地域や季節による塩素濃度の違い
水道水の塩素濃度は、地域や季節によって大きく異なります。
一般的に以下のような傾向があります。
- 夏季:水温が高く細菌が繁殖しやすいため、塩素濃度が高めに設定されることが多い
- 冬季:水温が低く細菌の活動が鈍るため、塩素濃度が低めになることが多い
- 都市部:人口密度が高く水の需要が多いため、塩素濃度が高めに設定されることがある
- 浄水場からの距離:遠い地域ほど、塩素濃度が高めに設定されることがある
カルキ抜き剤の活用
自分の好きな時間に水換えや足し水を行いたい人には、カルキ抜き剤の使用をおすすめします。
私が愛用しているのは、テトラの「アクアセイフ」です。
このカルキ抜き剤は単なるカルキ抜きだけでなく、メダカの健康維持に役立つ多機能な水質調整剤です。
主な特徴は以下の通りです。
- 強力保護コロイド(天然植物エキス):見えない膜でメダカの体表を包み、エラや表皮を優しく保護。
- 有害物質の無害化:水道水に含まれるカルキ、クロラミン、重金属(亜鉛・鉛・カドミウム・銅)を無害化。
- ストレス軽減:ビタミンB群の添加により、水換えや輸送時などのストレスを軽減。
- ミネラルとビタミンの補充:不足しがちな栄養素を補充し、メダカの健康維持をサポート。
- ろ過バクテリアの活性化:海藻抽出成分がろ過バクテリアを活性化し、水槽内のろ過材や底砂への定着を促進。結果として、よりクリアな水質を実現。
使用方法は簡単で、水を入れる前にバケツにアクアセイフを適量入れ、その後水を注ぎます。
私が水換えや足し水に使用しているのは、オムニウッティの10リットルバケツです。この場合、1回分(10リットル)あたり約5mlのアクアセイフを使用します。
ただし、メーカーの推奨によると、金魚やメダカ用の水作りの場合は通常の2倍量を使用するとより効果的とされています。つまり、10リットルあたり10mlですね。
アクアセイフを使用した水はすぐに使えるので、いつでも簡単に水換えや足し水が行えるようになります。汲み置きの時間や手間を省けるため、忙しい日々の中でもビオトープの管理がしやすくなります。
使用期限は開封後約1年ですが、1年以上経過しても水質や魚に悪影響を与えることはありません。ただし、魚病薬との併用は避けてください。
価格重視の人には、同じテトラの「コントラコロライン」や、さらにリーズナブルな選択肢として昔ながらのハイポ(チオ硫酸ナトリウム)もあります。
コントラコロラインはアクアセイフ同様速効性があり、カルキ除去とミネラル補給の効果がありますが、粘膜保護作用はありません。
ハイポはカルキ抜きの効果のみで、使用後5分ほど待てばカルキが抜けます。
カルキ抜きの必要性について
実は、メダカ飼育のベテランの中には、カルキ抜きをせずに水道水をそのまま使用している方もいます。
私自身も冬場はカルキ抜きなしで水換えや足し水をすることがありますが、メダカの調子が悪くなったことはありません。
しかし、前述の通り、夏場は水道水の塩素濃度が高くなる傾向があるため、個人的にはカルキ抜きを行うことをおすすめします。
カルキ抜きの有無にかかわらず、重要なのは水温合わせです。
新しく用意した水とビオトープの既存の水の温度差をできるだけ小さくすることで、メダカへのストレスを最小限に抑えることができます。
特に夏場は水温変化に敏感になるため、この点に十分注意を払いましょう!
まとめ
真夏のメダカビオトープを良いコンディションで維持・管理するには、定期的な水換えとこまめな足し水が効果的です。
日中から夕方にかけては、汲み置き水の水温が40度程度になり熱すぎて使えないので、朝の涼しい時間帯での作業がおすすめです。
朝はなかなか時間がとれないという人は、アクアセイフなどのカルキ抜き剤を活用すれば自分の好きな時間に作業できます。
少し手間はかかりますが、定期的に水換えと足し水を行えば、暑い夏でもメダカたちが快適に過ごせる環境を維持することができるでしょう。
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参考にさせていただいた記事・サイト