メダカビオトープに美しい「緑の絨毯」を作ることで、自然な環境を再現しつつ、見た目も美しい空間を作り出すことができます。
以前、ニューラージパールグラスとグロッソスティグマについての記事を掲載しましたが、今回はそれらの情報に加えて、3年間の実践経験を踏まえた「ヘアーグラスショート」の特徴と魅力について詳しく解説します。
緑の絨毯作りにおすすめの水草3選
メダカビオトープの緑の絨毯作りに最適な水草として、以下の3種類が特におすすめです。
- ニューラージパールグラス
- グロッソスティグマ
- ヘアーグラスショート(チシママツバイ)
これらの水草は冬の気温が極端に低い地域を除いて、屋外ビオトープでの越冬も可能です。
水槽での育成と異なり、屋外ビオトープでは特別な肥料や光の追加も不要。自然の環境下で十分に育てることができます。
その他、コブラグラスなども使用できますが、今回はこの3種類に焦点を当てて解説します。
特性 | ニューラージパールグラス | グロッソスティグマ | ヘアーグラスショート |
---|---|---|---|
成長速度 | 中 | 速い | 遅い |
育てやすさ | 普通 | 容易 | やや難しい |
見た目の美しさ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
トリミング頻度 | 中 | 高 | 低 |
寒さへの強さ | 強い | 中 | 強い |
総合おすすめ度 | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
ニューラージパールグラス
ニューラージパールグラスは、美しい緑の絨毯を形成する人気の水草です。
密に広がっていくので、個人的に"緑の絨毯"という言葉に一番ピッタリなのはこの水草だと思います。
成長の特徴として、最初はやや遅いものの、環境が整うとある時期から急速に成長し始めます。
キューバパールグラスという近縁種もありますが、ニューラージの方が育てやすく、寒さにも強いため、屋外ビオトープにはこちらがより適していると思います。
ただし、グロッソスティグマと比較すると育成にやや手間がかかる印象です。
ある程度絨毯化すると上に伸びていく性質があるため、美しさを保つには定期的なトリミングが必要になります。
グロッソスティグマ
グロッソスティグマは、成長が非常に速い水草です。
植えてから数か月程度でかなりの緑の絨毯が完成します。他の水草と比較しても成長が速く、他の水草を植えた場所まで勢力を拡大していきます。
育てやすさの面では、放置してもどんどん勢力を伸ばしていくため、初心者にも比較的扱いやすい水草といえます。
ただし、横だけでなく上にもグングン伸びようとする性質があるため、美しい状態を維持するには定期的なトリミングが必要になります。
見た目に関しては、メンテナンス不足の不揃いの状態だと、パールグラスやヘアーグラスショートに比べて劣る印象があります。
ヘアーグラスショート(チシママツバイ)
ヘアーグラスショートは、最初のうちはあまり目立った成長が見られません。
しかし、パールグラス同様、環境が整えばある時期を境に増殖し始めます。
育てやすさはグロッソスティグマに比べるとやや難しいですが、長期的に見ると管理が最も容易な水草です。
3年間の実践経験から、屋外ビオトープでのヘアーグラスショートの成長過程は以下のようになることがわかりました。
- 1年目:あまり目立った成長は見られない。
- 2年目の夏頃:広がりが見られ始め、きれいな景観が形成される。
- 3年目以降:美しい草原風の景観を維持し続ける。
成長が遅いため、最初は不安になるかもしれませんが、2年目以降は美しい景観を楽しむことができます。そして、いったん形成された美しい景観は、長期間安定して維持されます。
冬季には一時的に枯れたような状態になりますが、春になると再び新芽が出てきて、これを繰り返します。そのため、年間を通じての管理が比較的容易で、最小限の手入れでも美しい緑の絨毯を維持できます。
見た目に関しては、個人的にはパールグラスと同等の美しさを持ち、きれいに生え揃った姿は非常に魅力的です。
底床選びと植え方
緑の絨毯を作る際の底床選びは重要なポイントです。
成長を重視するなら水草の育成に適した「ソイル」が適していますが、ビオトープは水槽ほど頻繁に手入れしないことが多いため、多少成長が遅くても交換頻度の少ない素材を選択するのも一案です。
例えば、ヘアーグラスショートが良好に生育しているビオトープでは、通常の赤玉土よりも硬質で耐久性の高い「硬質赤玉土」を使用しています。これにより、長期的な維持管理の手間を軽減することができます。
→当ブログの記事:【メダカビオトープ底床】硬質(焼成)赤玉土の色や大きさ、硬さを比較
ヘアーグラスショートの基本的な植え方は以下の通りです。
- ヘアーグラスショートを小さな株(2〜3cm四方程度)に分ける。
- ピンセットを使って、株の根元を5〜10mm程度底床に埋め込む。
- 株同士の間隔を3〜5cm程度空けて植えていく。
管理で重要なのは苔・アオミドロ対策
植え付け後の初期管理で注意すべき点は、苔やアオミドロ、藍藻類対策です。
緑の絨毯作りに適した水草は苔やアオミドロが付着しやすいため、ミナミヌマエビなど、苔を摂食する生物を適度に導入することをお勧めします。
ただし、エビの過剰な導入は水質悪化の原因となるため、適切なバランスを保つことが重要です。
アオミドロ対策としては、pHを弱酸性に保つことも効果的です。pHが弱酸性域にあるとアオミドロの発生と繁殖が抑制される傾向があります。
まとめ
緑の絨毯を作る水草として、ニューラージパールグラス、グロッソスティグマ、ヘアーグラスショートを紹介しました。
水槽環境であれば、これらの水草はいずれも美しい緑の絨毯を形成し、甲乙つけがたい魅力を持っています。
しかし、屋外のビオトープという特殊な環境下では、状況が大きく変わります。
ビオトープは水槽と異なり日々の細かな管理が難しく、自然の影響を直接受ける環境です。このような条件下で、美しい景観を長期的に維持するには、手間のかからない水草を選ぶことも重要になります。
私の経験を踏まえると、ビオトープ環境下では今回メインで紹介したヘアーグラスショートがおすすめですね。緑の絨毯というよりはどちらかというと「草原」という言葉の方がピッタリな気がしますが。
理由をまとめると以下の通りです。
- 成長後は、ほとんどトリミングの必要がない(地下茎で増えていくので間引きは好みで)。
- 一度安定すると、長期間美しい景観を維持できる。
- 寒さに比較的強く、屋外での越冬も可能。
- 自然な草原風の景観を作り出し、日本の風景に馴染む。
ビオトープ作りは長期的な視点が重要だと思います。
手間をかけずに美しい景観を維持したい方、自然な日本の湿地を思わせる環境を作りたい方にとって、ヘアーグラスショートは魅力的な選択肢といえるでしょう。
ぜひ、ヘアーグラスショートを使った緑の絨毯作りにチャレンジしてみてください!
#ビオトープ #緑の絨毯 #ヘアーグラスショート